トピック
ウイスキー入門②
幾度の荒波を乗り越えた日本での普及
さて、ようやく私達の知っている琥珀姿になった
ウイスキーが日本に伝わるのは、江戸時代末期
のことです。
ペリーで有名な黒船来航時(1853年)、将軍への献上品として持ち込まれた品物のひとつに、ウイスキーの記録が残っています。
明治に入ってからは民間での輸入も行われましたが、今までにない味のお酒は日本人の口には合わなかったようです。
明治末期になっても、ウイスキーが日本のアルコール市場に占める割合はわずか1%程度でした。
需要がない以上、国内で本格的な製造を試みる動きもなかなか起こらず、大正の終わりまでウイスキーは冬の時代を迎えました。
そんなジャパニーズ・ウイスキーのさきがけとなったのは、ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝と、サントリー創業者の鳥井信治郎でした。
スコットランドで学んだ蒸溜技術を輸入し、日本初の国産ウイスキーを完成させるまでの試行錯誤は、
ドラマ「マッサン」で一躍有名になりましたね。
日本人に好まれるよう改良を重ねた「角瓶」も発売され、市民権を得てきたところに、しかし再び逆風が吹きつけます。第二次世界大戦の開戦です。
戦時下で統制品となったウイスキーは、一般市民への流通が制限されました。
将校への配給用としてなんとか作り続けられていたものの、戦争が終わっても高級品であるウイスキー市場はなかなか回復しませんでした。
そんな苦しい情勢を支えてくれたのは、なんとGHQのアメリカ将校達でした。
大戦を乗り越えて熟成された日本のウイスキーは、彼らの舌を満足させるまでの味わいになっていたのです。
その後、戦後復興とともに洋酒市場は息を吹き返して、みるみる成長してゆきました。
ハイボールがポピュラーになったのもここからで、日本での飲み方としては新しいんですね。
800年の粋を一口に
1300年代から駆け足でウイスキーの歴史を振り返ってみましたが、いかがでしたでしょうか?
トリビアも時にはお酒を美味しくする肴。
遥かな歴史を胸に秘めてお気に入りの一杯を楽しめば、いつもよりほんの少し贅沢な気持ちになれるかもしれませんよ。
※2回に渡って、お伝えしましたウイスキー入門。
2000字で読めるウイスキー800年の歴史より引用をさせていただきました。
歴史を知って飲むひとくちは、普段とはまた違うものになりそうですね。